原美術館「ウィンター・ガーデン」展 プレス・プレヴュー

へ行ってきました。「日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」という副題のついた展覧会で、14組の日本人アーティスト(青木陵子、泉太郎、落合多武工藤麻紀子國方真秀未佐伯洋江杉戸洋タカノ綾田中功起千葉正也Chim↑Pom半田真規八木良太山本桂輔)の作品が紹介されていました。2007年に水戸芸術館で開かれた「夏への扉マイクロポップの時代」の続編というよりむしろ、更新されたヴァージョンのようでした。プレヴューではキュレーターの松井みどりさんが、各作品の見どころについて語り、あと原美術館の館長さんや学芸員の方、その場に居た作家さんにひとこと言ってもらったり、といったかんじで進行していました。館内をきょろきょろしつつもそのガイドについて行っているうちに「マイクロポップ」=「断片の再構成」で、とるに足りないものを新たな文脈に置き直すことで新鮮な感覚を呼び起こす、とをめざしているらしいことと、各作品がそれとどう関連するかということがよくわかるようになっていました。まだカタログを見てないのですが(6月発行)論旨として非常に鮮やかだなあ、という印象で、松井さんのコンセプト自体がひとつの作品で、各作品はそのコンセプトを支える材料のようなものにさえ思えました。ツアーの際、作家さんたちはコメントを求められてもあまり多くを語らないかんじで「松井さんがすでに上手に言ってくださったので、、、」と言っていたのがさらにその印象を強くしました。なので、各作品に感銘を受ける、というよりも松井さんのコンセプトのほうが見どころ、という感じではあります。はやくカタログが見たいです。
そういえばフライヤーには〈「マイクロポップ」(松井みどり氏の造語)〉とあったのですが、水戸芸術館のページhttp://www.arttowermito.or.jp/natsutobira/natsutobiraj.htmlには、「仏哲学者ジル・ドゥルーズが著書『カフカ:マイナー文学のために』において明らかにした、新しい時代の芸術のモデル」という解説があるので、造語をしたのはドゥルーズかもしれません。「夏への扉」は、アメリカのSF作家、ロバート・A・ハインラインの小説のタイトルからとられているらしいですが、「冬の庭」にも何かレファレンスがあったりするんでしょうか。こういった、フランス哲学であったり、アメリカのSF小説であったりするようなところから言葉を持ってくる、というのはある意味「文学」への参照というふうに捉えることもできるかと思いますが、こういったキュレーションの手法はもっと流布してもいいんじゃないかと思いました。