ゆく年/くる年の糊しろ

明日はプチ引っ越しです。年始にまた同じ場所に戻ってくるのですが、今年ここに住むのは明日が最後、ということで片付けをはじめました。そうすると、ほんとうに引っ越してしまうみたいで、急に名残惜しくなり、家のまわりの写真を整理してみました。最寄りのスーパーが紀伊国屋インターナショナルで、あとはコンビニくらいしかない、という場所だと、だんだん精神が荒廃してくるのではないか、と当初は懸念していたのですが、住んでみると、毎週末に「ファーマーズマーケット」という野菜の朝市があり、意外と野菜に困ることはありませんでした。まだ土のついたニンジンとかダイコンを、収穫した本人が販売しにくる、というなかなかラディカルな市場で、しかし週末の表参道を、ネギやダイコンの突き出たバッグで闊歩したい人も少ないので、重いものや長いものほど安価な傾向にあり、ご近所に在住する者にとっては有り難い市場でした。あと、近所に清水湯という銭湯があり、広いお風呂に入りたいときはちょっと足をのばしてひとっぷろ浴びに行く、、というのが理想ですが、まだ2回しか行けず、便利なのにいつの間にか行かなくなるスポーツクラブのようなかんじになりつつあります。もし週末、遠方から友人が来たりしたらその朝市でランチをして、銭湯へ連れていったりしたら、都会に来たのにそうでもないみたいで楽しかろうな、とか思いつつ、一年が終ろうとしています。

今週はテルメギャラリーの搬入をし、フランス大使館の搬出をし、たりと自分のことしかしていませんが、ともかく滞りなく、手帳上のイベントは一つひとつ消えていっていて、残り少なくなった手帳の余白を見ていると、自分にだけ12月32日とか33日とかがやってきたりしないだろうか、というロマンチックな空想が浮かんできます。次の一年がはじまる前の、糊しろみたいな、何に使っても良いような時間、とかが降って来たりはしないかな、、という。むろん、クリスマスが過ぎてしまえばもともと、その残りはロスタイムのようなものですが、その部分は往々にして、友人との忘年会とか、家族で集まったりとかいうことで過ぎてしまうもので、しかもそれはそれで疎かにもできないので、それらをすっぽかさずになおかつ、こう、一人静かに瞑想したりとか、したいな、、と。いや、おそらく瞑想とかはしなくて、掃除をしているうちに終ってしまうに違いないのですが。そして明日もフランス大使館展の搬出、なので、自宅の掃除をする以前に廃屋の片付け、とかになりそうではあります。