ヨルダンの8時間


ベイルートからベルギーに帰国するのにロイヤル・ジョルデニアン航空のチケットを買ったのだけれど、つまりジョルダンという国の航空会社なのでその首都アンマンで乗り換えるのが、なんと8時間乗り換え。しかも夜中。きっと、しらない空港で膝を抱えながらお財布とパスポートを死守しつつひたすら耐える8時間となるのであろうと想像していた。想像するだけで不安になるのもなんなので、そのアンマンのクイーン・アリア国際空港というのはどんな場所であるか、と調べてみたらどうも以前に日本人のカメラマンが不発弾を持ち込んで警備員の死傷事件を起こした場所らしく、なおさらまずい場所に思えてサバイバルな8時間を想像していた。
ら、ぜんぜんちがって、8時間以上のトランジットがある人は宿泊していいとかでそのクイーン・アリア国際空港のデスクでホテルのチケットを渡されてそのままバスに乗車。しかしこの時点でもそんな過度な期待はせず、ペンペン荘のようなところであろうどうせとおもったら着いた先がこんなエントランス。

星4つはくだらないであろう高級ホテルに思われたのでチェックインの際一瞬心配になって宿代を訊ねたら160ドルと。その一言でぎょっとして、ノーサンキューと言ったところ、
「うそピョーン」
と英語で言われてほんとうに拍子抜けした。思いのほかヨルダンは豊かなところらしい。

さらに、ブリュッセルに住んでいるとかいう青年とチェックインカウンターで知り合ってそのまま旅の道連れとなり、よくきくと隣の大学の学生なので話も尽きず、旅のあいだ彼の身の上話をきくなどして退屈することもなかった。ヨルダンはまあ、豊かなところではあるのだけれど、サービス業がほんとうに酷いとかいうことで、たしかに、空港で朝食をたべようとカフェらしきところに入ったら店員がおらず、奥で人が倒れていて私はテロかと思った。が、そんなことではなくて店員がさぼって寝ているみたいで、たしかに近づいてみると高いびきをかいている。けっきょく、シュワルマとかいうサンドイッチ的な何かを注文したのだけれど、それがこの世のものとも思えないほど不味くて、中東にいたあいだじゅう食べ物が美味しかっただけに強烈な印象をのこした。