!WAR(WomanArtRevolution),Lynn Hershman Leeson,米、2010


http://womenartrevolution.com/
60年代以降の女性アーティストが男社会の美術界、ひいては男社会そのものといかにして戦ってきたかという戦記調のドキュメンタリー。ジュディー・シカゴ、ゴリラ・ガールズとかの戦いぶりを見ると、こういう女性がバリバリと活動してきたおかげで現在の状況があるのだな、と敬虔な気持ちにさえなります。というのも、女性アーティストが冷遇されている状況そのものをデータとしてポスターに示したゴリラ・ガールズの作品も、そういえば春にMoMAに行った時に展示されていたし、最近読んだ美術史の本にはジュディー・シカゴの「ディナー・パーティー」が取り上げられていたので、彼女たちの戦いは一定の戦果を収めつつその役割を終えつつあるのかなという印象を受けるからです。
映画の内容としては、その運動に関わった女性アーティストを中心に40年以上にわたって撮り溜めたインタビューを繋ぎ合わせ、そして戦いはまだまだ続く…的な締めくくり方だったのですが、戦いが続くであろうことは確かだとしてもその続き方は変質するのだろうなという感想を抱きました。しかしとにかく、40年という時間の厚みはたしかにすごくて、写真や映像の中の彼女たちがどういうふうに歳を重ねてきたかがよくわかります。

ちなみにこれは"EllesTournent"という、女性映画祭の一貫でシネマテークでの特別上映でした。"tourner"という言葉が「撮る」というのと「くるくる回る」という2つの意味があるので「彼女らは撮る/くるくる回る」という掛詞になっていると思われます。何が回っていたかわからないですが、元気そうな感じです。
http://www.ellestournent-damesdraaien.org/

さらにちなみに監督のリン・ハーシュマン・リーソンは自身もアーティストで、こんどベルギーのギャラリーで個展をすることになっているらしく、本人も来るそうでちょっと楽しみです。
http://www.galeriewaldburger.com/lhershman/lhershmanimages.html

そしてYouTubeから予告編をどうぞ。
http://womenartrevolution.com/
のサイトに schedule a screening という欄があるのを見るにつけ、上映したい人は気軽に連絡してね、みたいなシステムのようです。