「クオ・ヴァディス」エンリコ・ガッツォーニ監督、伊、1912年


ピアノ伴奏つきのサイレント映画上映で、音大生みたいな人が出てきて譜面も明かりもなしに淡々と2時間演奏していました。
内容は古代ローマを舞台にした恋愛もので、一人の女性捕虜をめぐって男どもが争いあう一方で、当時のキリスト教徒迫害の状況が描かれていたりと盛りだくさんなのでした。とはいえそもそも1912年の映像でフィルムの儚さが際立っているのと、役者の演技が大仰なのとで全体的に空虚な後味の残る経験でした。登場人物の数が多く、筋書きも行ったり来たりなのですが、たぶん当時の観客は既に内容を知った上で歌舞伎を観るようなかんじで鑑賞していたんだろうと思われます。
真面目なことを言うと、イタリアで初めての長編映画でその後のグリフィスやパストローネにも影響を与えた、映画史的には大事なものらしいので、興味のある人は英語で調べてみるといろいろでてくると思われます。その後1925年と1951年と2度リメイクされたようです。西洋人にとってはよほど大事な内容なのでしょう。
1925年ヴァージョンの予告編がYouTubeにあったので真面目ついでに貼付けておきます。