聞いた話1

友人Mは北フランス出身である。北フランスというのはノルマンディー上陸作戦のときに戦場になったところなので、連合軍やドイツ軍の「忘れ物」というのがたまにみつかる。不発弾だけでなく、爆発したあとの金属片がみつかることもあって、金属片と言っても大人が2人がかりでようやく持ち上がるような大きさのものもあり、そういうのは市役所に引き取ってもらうか、あるいはそのまま庭に放置して子供の遊び場になっていた。
ある日彼が庭で遊んでいるとまた大きな金属の塊が出てきた。彼は「パパ、パパ、見て見て!」と親を呼ぶ。親はすぐさま警察を呼んで、警察は爆発物処理班を呼んで、近所の人をみんな避難させて爆弾を爆発させる。Mは、ほんとうの花火を見るまで、花火というのはそれのことだと思っていた。