鶏卵紙写真の作り方:印画紙編

古写真研修の第一週は鶏卵紙写真の作り方です。鶏卵紙写真は、1850年にフランスで発明されて、19世紀末まで盛んに使われていた技法です。ソルトプリントは時代的にはそのちょっと前くらいに一番使われていました。その名の通り卵と塩を使うので、お料理のレシピのごとく写真家の数だけ異なる作り方があるそうなのですが、ここでは最も一般的な方法を伝授してくれるそうです。
技術の背景の説明もそこそこに、さっそく作り方です。



まず、卵を120個割って卵白のみを取り出して泡立てます。白い泡がもこもこになりますが(いわゆるメレンゲです)、その部分は捨てて液体部分だけ残し、塩を加えます。



使う紙はCansonのCrob'artという80 g/m²の紙です。いろいろ試した末、これが当時の紙に一番近いそうです。ただし現在は生産中止なので、他の紙も試してみます。紙は、四つ角をすこしずつ折って、取り出しやすいようにします。気泡が入らないように端からそっと置きましょう。



5分ほど放置してから吊るして干します。このとき、下端に卵白が溜まったまま乾燥すると紙に皺が出るのでこまめにふきとりましょう。




完全に乾いたらプレス機にかけて平らにします。




そして硝酸銀の溶液をつくります。1リットルに対して120gくらい、だそうです。




溶液をバットに入れて、さきほどプレスした紙を鶏卵を塗った面を下にして置きます。硝酸銀の溶液は、手につくとあとで黒変してしばらくとれないので気をつけましょう。5分ほど放置して、乾燥。
鶏卵紙は、乾燥した時点から感光性を持つので強い光にあてないように気をつけましょう。感光性と言っても弱いもので、おもにUV光に反応するので暗室で作業する必要はありません。ただ、保存がきかないので作ったその日に使ったほうがいいです。光を通さない、黒い袋に密封すれば一日くらいはもちます。
感光の仕方は次項で(つづく)…。