午後はハードコアロックバンド(?)worst tasteのコジマ君にPVの素材をもらってきました。
その後都立大のテルメギャラリーで友人田村君の展覧会Thomas F Junkers「 Kiefer White 13 X 4」へ。ドイツから友達が来て展覧会をするので来てね、と言われたので行ったらそれはウソで、Thomas F Junkersというのは架空の人物で、今日は架空の人物の展覧会なのだということでした。そういう主旨の文章が会場入り口のところでプロジェクターで出力されていて、その架空の人物に皆が持ってきた手みやげを撮影して、今度それを展示販売します、ということでした。
外人さんが来るなら日本的なものをと、ヴァレンタインなのにひなあられなど持って行った私はまんまと主旨にのせられてしまっていたわけですが、これは面白いのか?面白い/面白くないとしたらなぜなのか、という点が気になってソワソワしました。架空の人物で作品を作る、というテーマは、巨匠イリア・カバコフ、レオ・レオーニ、フォンクベルタを筆頭に小沢剛などが扱っていて、それなりに系譜のあるテーマですが、面白いのに未開拓である感が多分にあって、田村君たちが提示したやり方は回答のひとつではあると思うのですが、どこか性急であるような気もして、おそらくそれはウソのばらし方に原因があるような気がするのですが、十分に騙されないうちに種明かしをされてしまった感じもします。もっと騙されたかった。下の写真は、案内状にもあったものですが、主旨とはとくに関係ないらしく、そうか、関係ないのか、、、いや、関係ないものがあってはいけない、とまでは思わないですが、ある程度必然性のあるもので構成したほうがスマートだろうな、とは思いました。

架空の人物で展覧会をする、という主旨で発表をしている人は、今アクティヴな人だと木村吉邦さん、飯田淑乃さん、江本創さんが取り組んでいますが、作品をその場で作って売る、という人はいなかったなあ、と思い、そういう意味では新境地なのかもしれません。しかし見たかんじだと、手ぶらで来た人が主旨を知ってから持ち物を置いて行ったりしてその場で〈手みやげ〉が拡大解釈されていっているさまがむしろ変なかんじで、まぁゲームのようなかんじなのかな、と思いました。来週、田村さんがOtto Mainzheim Galleryでその写真を売るらしいのですが、どういう人が買っていくのか、は気になります。おそらくまぁ、引っ越し祝いにイルカの写真を買ったりするのとは違って、そこで写真を買うことは田村さんたちが設定したゲームへの参加表明というか、支持表明という側面が強いことになるだろうとは思います。

村上華子