古典化するヴィデオ

hanakoblog2009-04-27

展覧会「ヴィデオを待ちながら 映像、60年代から今日へ」(東京国立近代美術館)へ行ってきました。
この展覧会は、内容の善し悪しよりもむしろ「国立」の「近代美術館」でこのように本格的にヴィデオが取り上げられたこと自体が大きなインパクトなのではないか、と思いつつ竹橋を渡ったのですが、帰り道でもやはり、ああ、ヴィデオってもう古典なんだな、という感を強くしました。
ヴィデオ作品を美術館でみる機会、というのにはたとえば3年前にナム・ジュン・パイクが亡くなったときにワタリウム美術館で「さよならナム・ジュン・パイク展」というのがありましたが、置いてある作品がほとんど全部ヴィデオ作品、というのは私設美術館だからこそできる、多少例外的な試みだっただろうと思うので、今回国立の美術館でこのように腰を据えてヴィデオ作品が紹介されるというのはやはり初めてなんだろうと思います。初めてなんだろうな、と思いながら想像するのは80年代くらいの写真の立ち位置で、今でこそ写真が美術館で展示されるのは当たり前のことですが、その当たり前も急に出来たものではなくて、80年代半ばから「芸術としての写真展」(国立国際美術館)、「日本の写真1930年代展」(神奈川県立近代美術館)といった企画展が催されて徐々に基盤が形成された上で1990年に恵比寿に東京都写真美術館が開館したことで現在の「当たり前」な写真の位置が出来ていったのだろうと勝手に思っています。むろん、写真とヴィデオが異なる時期にそれぞれ芸術の文脈に回収されていくさまを相似形で論じるのにはいろんな問題があるだろうと思いますが。。。。

6月7日(日)までやっています。
招待券が何枚か手もとにあるので、私の連絡先を知っている方なら、メールをいただければお譲りします。