Comme s'il en pleuvait


という芝居をみてきました。「雨あられのように」くらいの意味です。帰宅したら見覚えのない現金が居間に置いてあり、平穏だったはずの中年夫婦の暮らしが徐々に狂いはじめ…という話で、芝居のさいごには現金が雨あられのように降ってきます。夫は麻酔医で病院の労組に入っているのですが、現金を大量に手にして「つい」全額を高級ブランド店で使い果たしてしまい、妻に「ディオールのスーツなんか着て労使交渉に行くつもりなの?」と叱られる場面がいちばんもりあがりました。夫が応戦して「左派だからって缶詰ばかり食えというのか?俺だって…」とキャビアを頬張った瞬間にチャイムが鳴って…。
居間に大量の現金が置いてあった理由が全然わからなので最初は一種の不条理劇なのかと思いましたが、さいごはちょっと、これどう終わらせよう…と脚本家がこまって無理矢理ドラマチックにしてしまった感が強くて変な終わり方をしました。
主演のピエール・アルディティという人はアラン・レネの映画にも何度か出ている有名な俳優らしく、客席は満員御礼でした。劇場はオペラ座にほど近い「エドワール7世劇場」で、袋小路みたいなところを抜けたところにとつぜん立派な建物があって中もこてこてに装飾してあるという、いかにもパリらしい場所でした。吹雪だったので写真もふぶいてます。